(勝手に)祝!『キッド・ピストルズの冒涜』改訂文庫化
キッド・ピストルズの冒瀆 パンク=マザーグースの事件簿 (光文社文庫)
- 作者: 山口雅也
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2018/09/11
- メディア: 文庫
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初めて《キッド・ピストルズの冒涜~パンク=マザーグースの事件簿》を読んだ時、私はキッドのお仲間のような恰好をした若者だった。
当時周囲にいたパンクスにミステリーやSFを読む人はいなくて、なぜか近代日本文学の愛読者ばかりだった。
一方、ヘビーメタル・ファンとは話の合う人が何人かいて、「ブラッドベリの《さなぎ》は傑作だよね!」「好きな探偵は…マイクロフト・ホームズかな……」「探偵じゃねえよ!」などと盛り上がっていた。
山口雅也氏が、どこかで(うろ覚え)「ロンドンのパンクスがクリスティーを読んでいたら…」みたいな事を書いていて、「日本人だけどここにいます」などと思った記憶がある。
…と、いろいろな思い出が蘇る作品だが、久しぶりに読み返してみても、キッドの哲学は爽快で、ピンクは(若い頃に読んだ時よりも)愛らしい。
あの時私は二人よりも年下だったが(二人の年齢は定かではないが多分)、今はすっかり追い越してしまった。
シド・ヴィシャスやキース・ムーンの年齢を超えた時もそんな事を思ったが、それでも変わらないものがある。
《キッド・ピストルズ》シリーズの面白さだよ!
きっと、30年後に読んでも面白い。
だからどうか、この文庫化で初めて手に取るという人が沢山いますように。
そうして、その人達が数十年後に読み返してまた楽しんでくれるように。